美容カウンセラーはクリニックコンサルで成功できるのか?営業力の違いと現場でのリアルな課題
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美容医療業界では、近年美容カウンセラー出身者がクリニックコンサルタントとして独立や転職を志すケースが増えています。
背景には、業界経験を活かしてクリニック運営の改善や集客支援を行いたい、より高単価なフィービジネスに移行したい、という動機があります。
しかし現実には、美容カウンセラーがそのままクリニックコンサル業に転身しても、思うような成果が出ない、継続契約に結びつかないケースが非常に多いのが実態です。
この記事では、美容カウンセラーとクリニックコンサルの営業力の本質的な違い、そしてなぜカウンセラー出身者がコンサル業に不向きとされるのかを現場目線で整理・解説します。
目次
美容カウンセラーの営業スタイルの特徴
美容クリニックのカウンセラーは、患者様一人ひとりのニーズを掘り下げ、対面でクロージングし、個別の契約を獲得するのが主な役割です。
このスタイルの特徴は以下です。
- 個(患者様)を深堀りし、感情的に動かし、その場で決断させる
- 個別案件を一点突破でクロージングするスキルに長けている
- 「個」単位の成約率を追い、短期の結果にフォーカスする
このスタイル自体は、美容医療業界の高単価自費商材を販売する上では非常に有効なスキルですが、クリニックコンサル領域では、全く別次元の営業力とマネジメント力が求められるのです。
クリニックコンサルに求められる営業力・支援力の違い
美容クリニックコンサルティングでは、個のクロージングではなく、組織・仕組み・戦略レベルで成果を出す必要があるため、求められる能力は次のように異なります。
- 個人ではなく、院全体の数字・仕組み改善を追いかける
- クライアント(院長)に冷静に現状課題を指摘し、時には耳の痛いアドバイスも必要
- 成果が短期間で出なくても、冷静に数字・仕組み・人の動きを分析し、中長期視点で関わる
- 対面クロージングのような即時性より、合意形成や経営者心理への寄り添いが重要
さらに、コンサルは「うまくいかなくても、自分の腹は痛くない」という立場にいるため、クライアント(院長)が結果を出せなければ、「院長や現場スタッフの努力不足」と言い訳する道も常に残されています。
この構造こそ、カウンセラーの個別クロージング至上主義の営業力と、コンサルティング営業の本質的なギャップを生む根本的な要因と言えます。
美容カウンセラー出身者がコンサルに不向きな理由
個を見る視点が強すぎ、全体構造の理解が弱い
カウンセラーは個人売上を追いかける立場であり、個別の患者様対応には長けています。
しかし、クリニック全体の利益構造、マーケティング導線、集客設計、LTV(ライフタイムバリュー)などの経営数字への理解が浅いケースが多く、全体戦略型のコンサルティングには不向きと言えます。
営業力が「対面クロージング型」に偏りすぎている
対面で熱量を使い、患者様の感情を動かしてクロージングするスキルは、クリニック経営者との冷静な課題抽出・改善合意形成にはむしろ逆効果となることがあります。
コンサルは、クライアントを煽るのではなく、経営的に論理的に示し、腹落ちさせる必要がありますが、感情営業に慣れたカウンセラーはここで壁にぶつかりやすいのです。
プレイヤー脳が強く、マネジメント視点が欠如しがち
美容カウンセラーは、日々の個別売上を追いかけるプレイヤー型思考が染みついており、スタッフマネジメントや組織改善、KPI設計といった経営者目線の視点への切り替えが困難です。
現場でよくある誤解とトラブル例
・患者様クロージングと同じトーンで院長に提案し、煙たがられる
・短期間で成果を出そうとしすぎ、現場が疲弊し崩壊
・クライアントへの寄り添い不足で継続契約にならない
美容カウンセラーがコンサルに向くには何が必要か?
美容カウンセラーがクリニックコンサルで成功するには、美容現場で培った接客力・提案力を、経営改善や集客戦略に応用することが重要です。顧客心理の理解や売上目標へのコミット力は、院長への経営提案や継続契約の獲得にも活かせます。
具体的には以下を意識すればクリニックコンサルとして活躍することは可能です。
・経営数字・マーケティング・集客導線を体系的に学ぶ
・「個」ではなく「組織」の動きや心理を理解する
・経営者と同じ目線で考え、感情営業を封印し、論理的な対話を重視する
まとめ|美容カウンセラーの営業力とクリニックコンサルの営業力は別物
美容カウンセラーは優れた対面クロージングスキルを持ち、個別案件を突破する力は強力ですが、そのスキルをそのままクリニックコンサルに持ち込むと、むしろ失敗する可能性が高いのが現実です。
クリニックコンサルティングは、経営数字、組織マネジメント、マーケティング理解が必須であり、プレイヤー脳から経営者脳への切り替えができるかどうかが鍵になります。
この本質を理解せずに、カウンセラー時代の延長線でコンサルを始めても、うまくいかないのは当然の結果と言えるでしょう。