【注目トピック】美容医療のカウンセラーが医療行為を担う問題点とは?最近のニュースから考察
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美容医療のカウンセラーが医療行為に関与する問題が、近年ニュースで取り上げられています。本来、無資格者の医療行為は法令違反にあたります。なぜこの問題が起きているのか、背景と具体的リスクを解説し、カウンセラーの正しい役割について考察します。
目次
美容医療のカウンセラーとは?
美容医療のカウンセラーとは、美容クリニックに来院する患者様に対して、施術メニューの説明や費用案内、契約サポートなどを行う専門スタッフのことを指します。医療行為は行わず、患者様とクリニックをつなぐ橋渡し役として重要なポジションを担っています。
主な仕事内容
美容医療カウンセラーの具体的な業務は次のとおりです。
- 患者様の悩みや希望をヒアリング
- 希望に合った施術メニューの紹介
- 料金や支払い方法の説明
- 施術スケジュールの調整
- 契約や同意書の手続きサポート
- 術後のフォローやカウンセリング
最近のニュースで問題視されていること
近年、美容医療市場の拡大に伴い、カウンセラーが医療行為に関与する問題が報道されています。具体的には、次のような事例が挙げられています。
- 医師の診察なしにカウンセラーが施術を提案・契約させる
➔ 本来、患者様に施術内容を決定するのは医師の診察を受けた後ですが、営業ノルマ達成を急ぐあまり、カウンセラーだけで施術を契約するケースが見られます。 - カウンセラーが施術内容の判断を行う
➔ 例えば、どの種類の施術が適しているか、患者様に合う注入量や施術部位をカウンセラーが独断で決める事例が問題視されています。 - カウンセラーが簡易な処置や注射を行う
➔ 脱毛、機器照射など、本来は医療従事者(医師・看護師)しか行えない処置をカウンセラーが担当する事例も指摘されています。
これらはいずれも医療法違反に該当する可能性があり、刑事罰の対象となることもあります。
参照▼
なぜこの問題が起きるのか?

カウンセラーが医療行為に関与する背景には、いくつかの要因が存在します。
- 利益優先のカウンセリング
一部のクリニックでは、カウンセラーが売上や契約を優先し、高額な治療を勧めることが指摘されていました。このため、患者にとって最善ではない治療が推奨される可能性もありました。 - 医師不足・看護師不足によるリソース不足
忙しいクリニックでは医師や看護師が足りず、待ち時間短縮や回転率向上を目的に、カウンセラーに業務を「肩代わり」させてしまう状況が発生しています。 - 効率化・回転率重視の経営方針
限られた時間でより多くの契約・施術をこなすため、診察プロセスを簡略化し、カウンセラーに大きな裁量を持たせるクリニックも存在します。
こうした背景が重なり、カウンセラーによる医療行為という本来あってはならない問題が顕在化してきました。
カウンセラーが医療行為を担うリスク
カウンセラーが本来許されない医療行為を担うことで、さまざまなリスクが発生します。
- 患者様の健康被害
医学的知識のないカウンセラーが判断を誤ると、適切でない施術により副作用や重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。 - クリニックへの信頼失墜
一度でもトラブルが発生すれば、SNSや口コミサイトを通じて悪評が拡散し、クリニックの経営にも深刻なダメージを与える可能性があります。 - カウンセラー本人への法的リスク
無資格者による医療行為は医師法違反にあたり、悪質な場合は刑事罰(罰金・懲役)が科される恐れもあります。 - 美容医療業界全体のイメージ悪化
一部クリニックの不適切な対応が報道されることで、美容医療業界全体に対する社会的な信頼が低下するリスクも無視できません。
カウンセラーのカウンセリングと医師による診察の違い

現在の美容医療業界の全体を見渡すと、一部のクリニックではカウンセラーによる「カウンセリング」と医師による「診察」の境界線が曖昧になっている場合があります。それぞれの役割の違いを正しく理解することは、安心・安全な美容医療を提供するために非常に重要です。
カウンセラーによるカウンセリングとは
カウンセラーの役割は、患者様の希望や不安を丁寧にヒアリングし、クリニックで提供している施術メニューの紹介や料金案内を行うことです。施術内容に関する基本的な情報提供や契約手続きのサポートを担いますが、医学的判断や治療方針の決定は行いません。
カウンセリングはあくまで「施術紹介・ご案内」であり、診断や治療に関わる行為はできない点が大きな特徴です。
医師による診察とは
一方で、医師による診察は、患者様の身体的な状態を医学的観点から評価し、適切な施術や治療方法を決定する行為です。医師は、リスクや副作用についても正しく説明し、必要に応じて処方や医療的対応を行います。診察には必ず医師免許が必要であり、患者様の健康と安全を守るために重要な役割を担っています。
カウンセリングは「施術を紹介・契約サポートする業務」であり、診察は「医学的判断を伴う医療行為」です。この違いを理解せず、カウンセラーが医師の代わりに施術の可否を判断するようなケースは、法令違反や重大なトラブルに発展するリスクがあるため注意が必要です。
医師とカウンセラーの役割分担が曖昧なクリニックの危険性
美容医療において、医師とカウンセラーの役割分担があいまいなクリニックは、患者様にとって重大なリスクをはらんでいます。本来、診察・施術の適応判断は医師のみが行うべき医療行為です。しかし、役割が不明確なまま運営されているクリニックでは、カウンセラーが医学的なアドバイスや治療提案を行ってしまうケースが見られます。
医療ミスやトラブルのリスクが高まる
カウンセラーが医師の代わりに施術を提案することで、本来適応ではない患者様に不適切な治療が行われるリスクが生じます。
これにより、施術後のトラブル(傷跡、後遺症、健康被害)や、思わぬ副作用が発生する可能性が高くなります。
法令違反によるクリニックの信用失墜
医療行為は医師免許を持つ者のみが行えると医師法で定められています。
無資格者による医療行為は違法行為となり、摘発や行政処分の対象になるほか、クリニック自体の社会的信用も大きく損なわれます。
インフォームドコンセント(十分な説明と同意)が不十分になる
医療行為には、施術のリスク・副作用・代替手段を正確に説明し、患者様の同意を得る「インフォームドコンセント」が必須です。
役割分担があいまいなクリニックでは、これが適切に行われないまま契約が進み、患者様が十分な理解を持たずに施術を受けてしまう危険性があります。
信頼できるクリニックは、必ず医師が診察・施術説明を行い、カウンセラーはサポートに徹しています。カウンセリング時に「医師による診察があるかどうか」を確認することが、安心して美容医療を受けるための大切なポイントです。
美容医療のカウンセラーのあるべき姿とは?
美容医療のカウンセラーは、単なる営業職や案内役ではありません。患者様の不安に寄り添い、適切な情報提供とサポートを行う「信頼できるパートナー」であることが求められます。美容医療業界の健全な発展のためにも、カウンセラーが守るべき理想のあり方があります。
1. 医療行為に踏み込まず、正確な情報提供に徹する
カウンセラーは、医師が行う診察や医学的判断に踏み込んではいけません。自ら診断めいたアドバイスをしたり、治療内容を独断で決定することは医師法違反につながります。
カウンセラーは、施術内容や料金、リスクについて「事実ベース」で正確な情報を伝え、必要な場面では必ず医師に確認を取る姿勢が大切です。
2. 患者様本位で提案する
売上目標やノルマにとらわれすぎず、常に「患者様にとって本当に必要な施術かどうか」を考えた提案を行うべきです。
無理な勧誘や不安をあおるトークではなく、患者様が納得したうえで前向きに施術を選べるようサポートする姿勢が信頼につながります。
3. メリットだけでなくデメリットも正しく伝える
美容医療には必ずリスクや副作用が伴います。メリットだけでなく、リスクや注意点も誠実に伝えることで、患者様が後悔のない選択をできるように支援することが重要です。
不都合な情報を隠したり、リスクを軽視する説明は絶対に避けなければなりません。
4. 患者様の気持ちに寄り添い、不安を受け止める
美容医療は患者様にとって大きな決断です。カウンセラーには、患者様の不安や迷いに寄り添い、感情面のケアを行う役割も期待されています。
一方的な説明ではなく、患者様の声に耳を傾け、必要に応じて医師と連携しながらサポートすることで、患者様の安心感を高めることができます。
5. 医師との連携を徹底する
カウンセラーだけで判断するのではなく、必ず医師との連携を取りながら進めることが、適切な美容医療の提供につながります。
診察や施術の説明に関しては医師にバトンを渡し、カウンセラーはその補助的役割に徹することで、クリニック全体の信頼性も向上します。
まとめ
美容医療のカウンセラーは、患者様と医師の架け橋として、施術を受ける上での不安を解消し、納得のいく選択をサポートする重要な役割を担っています。そのため、医療行為に関する知識を正しく理解し、情報提供に徹することが求められます。
美容医療は慎重な判断を必要とする分野であるため、信頼できるカウンセラーの存在は、クリニックの評価や患者様の満足度に直結します。
美容医療のカウンセラーとして活躍するためには、常に患者様の立場に立ち、医療知識とコミュニケーションスキルを磨くことが不可欠です。それが、患者様の心からの信頼を得るための第一歩となります。